禁煙外来は、禁煙にチャレンジしたけれど自力では難しかった方や禁煙の方法が分からない方の禁煙をサポートする医療機関です。
「禁煙外来ではどんなことをするの?」「禁煙治療の費用はいくらくらいかかるの?」と、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、禁煙外来について対象者や治療期間、費用など詳しく解説します。
禁煙外来を受診しようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
禁煙外来とは?
禁煙外来とは、禁煙したい強い意志を持っている方に対して、禁煙指導や治療を行う専門外来のことです。
長年たばこを吸っている方が禁煙をはじめたとき、辛い離脱症状やストレスに苦しむことがあります。
「やめたいのにやめられない」のは、日常的な習慣や意思が弱いわけではなく、喫煙によってニコチン中毒になり、自力での禁煙は困難な状態になっています。
禁煙に医療的なサポートが必要な方にとって、禁煙外来が禁煙の選択肢のひとつです。
禁煙外来の治療内容
禁煙外来で行われる治療は「呼気一酸化炭素濃度測定」「禁煙補助薬」「医師のサポート・アドバイス」の3本柱です。
それぞれ詳しくみていきましょう。
呼気一酸化炭素濃度測定
禁煙外来では標準禁煙治療プログラムに基づき、診察時に「呼気一酸化炭素濃度」を測定します。
呼気一酸化炭素濃度測定は、たばこに含まれる一酸化炭素をどれくらい体内に取り込んでいるかを測定する検査です。
禁煙が継続できている場合は一酸化炭素濃度が下がりますが、治療中に喫煙してしまった場合は一酸化炭素を検出します。
呼気一酸化炭素濃度測定によって、診察時に客観的に喫煙・禁煙の評価を行うことができます。
禁煙補助薬の処方
禁煙外来では、禁煙補助薬を用いて、無理なく喫煙習慣を改善させる治療が行われます。
保険適用される禁煙補助薬は、ニコチネルTTSパッチとチャンピックス(バレニクリン)です。
ニコチネルTTSパッチ
張り薬に含まれるニコチンが一定量ずつ放出し、体内に吸収させる働きがあります。
一時的に薬剤でニコチンを摂ることで、禁煙の離脱症状にともなうたばこを吸いたい気持ちや、イライラを軽減させてくれる効果があります。
チャンピックス(バレニクリン)
禁煙をスタートする1週間前から12週間服用する、ニコチンを含まない飲み薬です。
ニコチンの結合が阻害されるので、喫煙による満足感や欲求が軽減され、禁煙による離脱症状を和らげる効果があります。
現在チャンピックスは、出荷停止・自主回収されているため、ニコチネルTTSパッチにて治療が行われている場合や禁煙外来を休止している医療機関も多いです。
医師のサポート・アドバイス
禁煙外来の医師は、ニコチン依存によって自力で禁煙できない方にとって心強いサポーターです。
患者様一人ひとりに合った適切な禁煙方法や禁煙との向き合い方はもちろん、禁煙に失敗した際のアドバイスを行います。
禁煙外来は保険適用?健康保険で治療できる基準
禁煙治療は自費で行われていましたが、2006年4月の診療報酬改定に伴い、健康保険の適用となりました。
嗜好品であり自己の意思によって吸っているたばこの治療が、健康保険適用になったポイントは以下の3つです。
- 喫煙による健康被害の拡大を抑制する
- ニコチン依存は慢性疾患であり、医師の指導や治療が必要
- 禁煙治療で将来的ながんや呼吸器疾患の患者が減少し、医療費抑制につながる
健康保険で禁煙治療がされた場合、「ニコチン依存症管理料」が算定されることになります。
しかし、禁煙したい人がすべて対象となるわけではなく、以下のとおり患者側と医療機関にそれぞれ一定の基準が定められています。
禁煙外来で禁煙治療を受けることができる方
健康保険適用で禁煙治療を受けることができるのは、以下の基準をすべて満たした方です。
・ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)※1で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
・35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
・直ちに禁煙することを希望されている方
・「禁煙治療のための標準手順書※2」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
引用:厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-007.html
※1
ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)
たばこに関する質問に「はい・いいえ」で答え、ニコチン依存度をチェックするテストです。
ニコチン依存症管理料を算定するためには10問中5問以上該当する必要があります。
※2
禁煙治療のための標準手順書
日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会
禁煙治療のための標準手順書(第8.1版).2021.
https://www.jrs.or.jp/information/jrs/publication/20210916112925.html
禁煙治療を保険診療できる病院の基準
健康保険を適用して禁煙治療するには、患者側の条件とともに病院やクリニックの基準も定められています。
ニコチン依存症管理料を算定できる施設基準は、以下のとおりです。
・禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること。
・禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること。
・禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること。
・禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること。
・保険医療機関の敷地内が禁煙であること。なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。
・ニコチン依存症管理料を算定した患者のうち、喫煙を止めたものの割合等を、別添2の様式8の2を用いて、社会保険事務局長に報告していること。
引用:厚生労働省 禁煙支援マニュアル・ニコチン依存症管理料について
https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/061122f.html
禁煙外来での治療期間と流れは?
禁煙したい方は、一刻も早くたばこを吸わずに生活したいと思っているかと思います。
禁煙外来での禁煙治療は、標準禁煙治療プログラムに基づき、12週間・5回診察(治療)を行います。
標準禁煙治療プログラムの治療の流れは以下のとおりです。
【禁煙外来】初回診察の内容
初回診察日には、現在の喫煙状況や呼気一酸化炭素濃度測定、TDS評価結果の確認を行い、健康保険の適用かどうかを確認します。
禁煙治療の対象となった場合は、禁煙開始日を決め、禁煙補助薬・禁煙治療用アプリ及び CO チェッカー使用の説明が行われ、個々に合った治療法を選びます。
医師からは、禁煙に向けた問題点の抽出やアドバイスが行われます。
【禁煙外来】再診(2・4・8・12週間後)の内容
初回診察日から、2週間後・4週間後・8週間後・12週間後に再診します。
診察毎に呼気一酸化炭素濃度測定を行い、禁煙の状況や離脱症状、禁煙継続の確認、アドバイス、禁煙補助薬の使用状況などの確認をします。
禁煙外来を通院している方の中には、12週間を過ぎても禁煙に成功しない方もいらっしゃいます。
このような場合は、禁煙プログラムが終了した後も、自由診療(自費)で禁煙補助薬の処方が可能です。
また、健康保険を適用した禁煙治療は原則1年とされています。
禁煙プログラムを終了後、健康保険を使用して治療したい場合は、前回の禁煙外来の初回診察の日から1年経っていれば可能です。
禁煙外来でかかる費用は?
禁煙外来を検討している方が気になるのは、やはり金額ですよね。
健康保険で禁煙治療を行った場合にかかる主な費用は、以下のとおりです。
- 初診料/再診料
- ニコチン依存症管理料点数
- 禁煙補助薬の費用
- 院外処方の費用
自己負担額が3割の場合、12週間の禁煙プログラムを行った場合、禁煙治療にかかる費用は12,000円から20,000円程度が目安となります。
高いと感じる方もいらっしゃいますが、治療期間中(12週間)に1日1箱(550円)たばこを吸い続けた場合は、46,200円かかります。
禁煙に成功すれば、将来にわたってたばこの費用がかからなくなるため、経済的な負担を軽減することができるでしょう。
禁煙外来を受診したい!禁煙治療をはじめるには?
禁煙治療をはじめたい方に向けて、禁煙外来の探し方をご紹介します。
かかりつけ医に相談する
内科や呼吸器内科、婦人科など禁煙治療を行っている医療機関が増えています。
かかりつけの病院やクリニックがある場合や疾患の治療を行っている方は、かかりつけ医に相談してみてください。
負担の少ない方法での禁煙治療やアドバイスをしてくれるでしょう。
禁煙外来のある医療機関を探す
かかりつけ医がない場合や禁煙外来に力を入れている医療機関を受診したい場合は、禁煙外来のある病院やクリニックを探す必要があります。
以下のリンクから全国のニコチン依存症管理料算定医療機関を探すことができますので、ぜひお住いの地域の医療機関をチェックしてみてください。
一般社団法人 日本禁煙学会 全国禁煙外来・禁煙クリニック一覧
http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic/
禁煙外来は、完全予約制のところも多いため、事前に電話で予約がとれるかどうか確認しましょう。
医療機関によって、禁煙補助薬の供給不足で新規患者の予約停止や、禁煙外来を休止している医療機関もありますので注意してください。
オンラインの禁煙外来で禁煙治療を受ける
禁煙治療はオンライン診療でも受けることができます。
以下のような方は、オンライン診療での禁煙治療を検討してみてはいかがでしょうか。
- ニコチン依存症管理料の算定になる条件を満たさず、健康保険が適用されない方
- 仕事が忙しく定期的な通院が難しい方
- チャンピックス(バレニクリン)での禁煙治療をしたい方
- 禁煙外来に通院していることを知られたくない方
オンラインで禁煙治療をするのは不安…という方も多いですが、対面診療と同じように医師に相談でき、適切な治療やアドバイスを受けることが可能です。
オンラインクリニックによって自由診療になりますが、出荷停止・自主回収されているチャンピックス(バレニクリン)の海外製ジェネリック医薬品を処方してもらえるクリニックがあります。
デジタルクリニックでは、内服薬プラン(バレニクリン)・パッチプラン(ニコチネルTTS)2種類の禁煙治療プログラムがあります。
パッチタイプのニコチネルTTSで禁煙がうまくいかなかった方や服薬治療を希望する方は、バレニクリンでの治療が可能かどうか、医師に相談してみましょう。
デジタルクリニック
https://digital-clinic.life/lp/stopsmoking
今からでも遅くない!禁煙外来で喫煙習慣を見直そう
禁煙外来では、医師とともに禁煙の状況を客観的に把握しながら適切な禁煙補助薬を使用するため、モチベーションを維持しながら禁煙に取り組むことができるでしょう。
しかし、禁煙治療を希望する方全員が健康保険の適用となるわけではなく、通院の手間や時間がかかります。
オンラインクリニックは、自宅にいながら専門の医師や医療チームのサポートのもと禁煙治療をスタートすることができます。
忙しい方にとって負担が少ないため、無理なく継続できる選択肢のひとつです。
ライフスタイルや希望に合わせて、ご自身に合った禁煙治療を選びましょう。
オンラインで禁煙治療ができるデジタルクリニックは、禁煙したい方や疾患の予防をしたい方の相談に24時間365日対応しています。
禁煙補助薬のほか、スマートフォンアプリを活用した方法がありますので、禁煙外来を検討されている方はお気軽にご相談ください。