タバコ

喫煙のリスクを甘く見たらダメ!禁煙で健康な未来を目指そう

「たばこは体に悪いと思っているけれどやめられない」

罪悪感を抱きながら喫煙を続けている方も多いのではないでしょうか。

喫煙は、がんや心疾患など病気のリスクだけでなく周囲にもリスクをもたらすため、禁煙で健康的な生活習慣を取り戻すことが大切です。

この記事では、喫煙がもたらすリスクや無理なく始められる禁煙治療についてご紹介します。

喫煙している方や家族、禁煙を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

がんのリスク|非喫煙者の1.6倍!

たばこには多くの化学物質や発がん性物質が含まれ、これらの有害な物質が喫煙によって肺へ運ばれ、血液を通じて全身に運ばれます。

そしてDNAの損傷や細胞の変化が起こり、がん発生のリスクを高めます。

喫煙によるがんのリスクは、男性では非喫煙者の1.6倍、女性では1.5倍になるとされています。

では、喫煙によってリスクが高まるがんをみていきましょう。

肺がん

たばこが原因の肺がんは、とくに若い頃からたばこを吸った方のリスクが高く、20歳未満でたばこを吸い始めた場合、死亡率は非喫煙者の約6倍です。

肺がんになった方の中で、男性の70%、女性の20%が、たばこによる肺がんとされています。

しかし、肺がんだけでなく食道がんや胃がん、大腸がん、乳がんなど、色々ながんを引き起こす可能性が高くなります。

がんのリスクを抑え、健康を守るためには禁煙が重要です。

食道がん

食道がんは、50代以降にリスクが高まり、男性に多いがんです。

全がんの約2.6%と稀ながんですが、患者数は増加傾向であるため、リスクの理解と予防が重要です。

男性の食道がんの約80%は、飲酒または喫煙が原因とされています。

喫煙による食道がんのリスクは、2.77倍、飲酒で2.76倍ですが、喫煙・飲酒を伴う場合は8.32倍となり、さらにリスクが上昇します。

すい臓がん

喫煙によってすい臓がんになりやすくなることはあまり知られていませんが、非喫煙者と比べると1.8倍のリスクになるとが高まるといわれています。

発がんの原因は、たばこに含まれる発がん性物質によるDNAや遺伝子へのダメージや煙に含まれる化学物質による炎症です。

また、喫煙することですい臓がんの危険因子となる糖尿病になりやすく、悪化しやすいという点も影響します。

喫煙がすい臓がんのリスクを高めるだけでなく、背景にある疾患を悪化させやすい特徴があると理解することが重要です。

乳がん

喫煙と乳がんの関係について、明確な結論は出ていませんが一般社団法人日本禁煙学会によると、閉経前の喫煙者の乳がんのリスクは3.9倍(閉経後の乳がんリスクは1.9倍)、受動喫煙で2.6倍と報告されています。

発がん率を高めるだけでなく、乳がんの生存率にも影響し、10 年生存率は非喫煙者 90%、喫煙者 60~70%台です。

喫煙は乳がんを含む、様々ながんの危険因子となるため、禁煙はメリットが大きいといえるでしょう。

参照:国立研究開発法人 国立がん研究センター
https://epi.ncc.go.jp/files/01_jphc/archives/JPHCpamphlet201612-4.pdf

参照:一般社団法人 日本禁煙学会
http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/information/2018829TC.pdf

COPDのリスク|喫煙者の15~20%が発症

人は年齢を重ねるごとに、肺の機能が低下していきますが、喫煙者では非喫煙者に比べて急速な低下を引き起こします。

ここではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)についてみていきましょう。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、別名たばこ病、肺の生活習慣病といわれています。

たばこに含まれる有害な化学物質を吸うことで気管支や肺に炎症を生じ、歩行時や階段の昇降時などの息切れ(労作時呼吸困難)や長く続く咳、痰などが症状です。

40歳以上の8.6%・約500万人以上の患者がいるとされていますが、自覚症状が乏しいため治療を受けている患者は1割程度です。

肺気腫や気管支炎によって肺の動きが低下し、進行すれば呼吸困難となり、日常的に酸素ボンベが必要になります。

COPDは全身に影響を及ぼす

COPDは肺の機能を低下させますが、以下のように全身の健康を脅かします。

  • 脳血管障害
  • 貧血
  • 胃潰瘍
  • 肺がん
  • 骨粗鬆症
  • 糖尿病
  • 虚血性心疾患
  • 閉塞性動脈硬化

COPDの原因の90%は喫煙とされているため、咳や痰、息切れが続いている方は、COPDの早期発見と治療が重要です。

新型コロナウイルスの重症化リスク

喫煙は、COPDなどの呼吸器疾患の罹患率や重症化のリスクが高くなるだけでなく、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクにも注意が必要です。

新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、非喫煙者でも呼吸器の機能が低下し喘息の悪化や肺炎を生じる可能性があります。

一方、喫煙者は喫煙によって気管支や肺に炎症、免疫力の低下が起こっている場合もあり、人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)が必要な重症化のリスクが高いといわれています。

また、三密の空間での喫煙や口元に手を近づけてたばこを吸う行為が感染のリスクも高めるため、新型コロナウイルスへの感染と重症化を予防するなら禁煙が重要です。

循環器疾患のリスク

たばこに含まれる有害な化学物質の一つであるニコチンは、交感神経を刺激し、心拍数や血圧の上昇を引き起こし、血管収縮による血流量や酸素の低下を生じやすくなります。

そのため喫煙によって、動脈硬化や血栓を生じやすくなり、虚血性心疾患や脳卒中のリスクを高めます。

虚血性心疾患

たばこに含まれる有害な化学物質は、血管の収縮や血液の循環を悪化させます。

動脈硬化や血栓で心臓の血管が狭窄・閉塞され、心臓への栄養や酸素が不十分になる状態で、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクを高めます。

運動時やストレスがある際の胸痛や圧迫感などが症状ですが、自覚症状がない場合もあり、健康診断で分かる場合もあります。

脳卒中

喫煙による脳卒中のリスクは、非喫煙者に比べて男性1.3倍、女性2.0倍といわれています。

虚血性心疾患と同様に、たばこのニコチンや一酸化炭素などの有害物質によって動脈硬化や血管の狭窄を引き起こします。

脳の血管が破れる脳出血やくも膜下出血、血管が詰まる脳梗塞など、脳卒中になりやすく、くも膜下出血では本数が増えるほどリスクが高いとされています。

その他のリスク

喫煙は、がんやCOPD、循環器疾患のリスク以外にも、色々なリスクを引き起こします。

ここでは、妊娠や出産など特に女性が気を付けたいリスクや周囲の方に及ぼすリスクについてみていきましょう。

妊娠や出産へのリスク

喫煙の健康被害は、妊娠や出産にも大きく影響します。

妊娠中にたばこを吸うと、ニコチンによって血管の収縮や低酸素になり、子宮内の血流が悪くなります。また、一酸化炭素も胎児や胎盤の低酸素状態を引き起こす原因です。

妊婦の喫煙は、以下のような胎盤のトラブルや胎児の発育障害へのリスクを高めます。

  • 流産、早産
  • 前置胎盤
  • 胎盤早期剥離
  • 胎児奇形
  • 低出生体重児
  • 新生児死亡
  • 胎児死亡
  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)

早産や乳幼児突然死症候群(SIDS)、低体重などは受動喫煙でもリスクが高まるとされています。

妊娠で禁煙された方でも、出産後に再び喫煙してしまう方もいらっしゃいます。

注意したいのは、母乳は血液から作られているということで、喫煙や受動喫煙によって、ニコチンが母乳に含まれてしまいます。

ニコチンが含まれた母乳を赤ちゃんが吸うことで、ニコチン中毒になってしまう恐れもあるため、禁煙を続けることが大切です。

受動喫煙のリスク

喫煙は、たばこを吸っている本人のリスクだけでなく、周囲の非喫煙者にとっても健康被害を生じるリスクとなります。

受動喫煙で怖いのは、たばこを吸っている本人が吸っている主流煙や吐き出す呼出煙よりも、非喫煙者が受動喫煙する副流煙に有害物質が多く含まれていることです。

副流煙によって、がんや呼吸器・循環器疾患のリスクを高めるとともに、妊娠中の女性の場合は、妊娠・出産時のリスクを高めるとされています。

また、子供にも気管支炎や喘息、乳幼児突然死症候群などの影響があるため、家族や大切な人の健康を守るためにも禁煙を始める必要があるでしょう。

ニコチン依存症のリスク

ここまで説明した喫煙のリスクをご覧になって「よし、禁煙しよう!」を決意されて方もいらっしゃるかと思います。

しかし、「やめたいのにやめられない」状態となり、禁煙に失敗する方は少なくありません。

ニコチンは一時的な快楽をもたらし、中毒性が強いことが特徴です。

禁煙によってニコチンの濃度が低下すると「たばこを吸いたい」という欲求が起こり、ニコチン不足から不快感やイライラ、集中力低下などの離脱症状が現れます。

たばこによってストレス発散や気分転換できると感じている方の中には、喫煙欲求を抑えられず、何度も禁煙を繰り返している方も少なくありません。

長く喫煙習慣を続けてこられた方は、ニコチン依存症や離脱症状によって自力では禁煙できない可能性が高いでしょう。

ニコチン依存症によって、たばこから逃れられなくなることが最大のリスクです。

危険な喫煙リスク!禁煙治療で健康を取り戻そう

たばこを吸うと、気軽にストレス発散や気分転換ができると感じますが、これはニコチンによる一時的な快楽に過ぎません。

ニコチン依存症から自力で逃れるのは難しいため、禁煙外来を活用して禁煙をはじめることが大切です。

禁煙は、はじめてすぐに健康を改善できるため、いつ禁煙しても遅いことはありません。

将来の病気の予防だけでなく、すでに喫煙によって病気になった方も、まず禁煙することから始めてみましょう。

禁煙外来を活用しよう

禁煙外来は、禁煙にチャレンジしたけれど自力では難しかった方や禁煙の方法が分からない方に対して、禁煙指導や治療を行う専門外来です。

服薬タイプやパッチタイプなどの禁煙補助薬を使い、離脱症状を軽減させながら禁煙治療プログラムを進めていきます。

自力では禁煙できない方でも医師のサポートのもと、禁煙と向き合いながら無理なく禁煙を続けることができるでしょう。

オンラインでの禁煙治療もおすすめ

禁煙外来では、ニコチン依存症管理料算定医療機関で受けることができます。

しかし、近くに病院やクリニックがない場合や禁煙外来に行く時間がない方、禁煙治療を人に知られたくない方は、オンラインでの禁煙治療を検討してみてはいかがでしょうか。

直接医師と会わずに禁煙治療をするのは不安な方もいますが、対面と同様に禁煙補助薬を使った治療や、医師のアドバイスを受けることが可能です。

オンラインの禁煙治療を行うデジタルクリニックは、24時間365日の診察とチャットでの相談が可能です。

禁煙アプリの導入や治療期間後のアフターフォローも充実していますので、無理なく禁煙を維持することができるでしょう。

服薬タイプのバレニクリン、パッチタイプのニコチネルTTSから禁煙補助薬を選択でき、プライバシーに配慮し配送されるので安心ですね。

デジタルクリニック

https://digital-clinic.life/lp/stopsmoking

後悔しない選択を!禁煙で命を守ろう

喫煙は、一時的な快楽やストレス発散ができますが、メリットを大きく上回る健康被害のデメリットがあります。

喫煙習慣を改善できないけれど、運動や栄養バランスのとれた食事などを取り入れ、健康に気を付けている、という方もいます。

しかし、どれだけ健康に気を付けたとしても喫煙のリスクから逃れることはできません。

「家族と健康に過ごしたい」「長生きしたい」という方は、禁煙あるのみです。

今回ご紹介した禁煙外来やオンラインでの禁煙治療を検討していただき、心身の健康を取り戻しましょう。

-タバコ
-