「たばこをやめたいけれどやめられない」
こんな気持ちを抱えながら、何度も禁煙にチャレンジしている方は多いのではないでしょうか。
ドラッグストアや薬局で市販されているニコチンパッチやニコチンガムを試しても、効果がなかった、禁煙できなかったという声もきかれます。
2006年から禁煙治療が健康保険の適用となり注目されているのが、禁煙の成功率が高まるといわれている「バレニクリン」です。
今回は、禁煙補助薬バレニクリンの使用方法や注意点について詳しくご紹介します。
禁煙にチャレンジしようと思っている方や禁煙に役立つお薬について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
バレニクリンってどんな薬?
バレニクリンはチャンピックスの一般名で、日本初の経口禁煙補助薬で健康保険適用の薬です。
医療機関で禁煙治療をしたことがある方は「チャンピックス」という名前で知っている方も多いかと思います。
ここでは、バレニクリンについて詳しくみていきましょう。
バレニクリンで禁煙できる2つの作用
喫煙がやめられないのは、たばこに含まれるニコチンの満足感や快感によるものです。
バレニクリンは、以下2つの働きをします。
- ニコチンの結合を妨げ、喫煙による快感を抑制する「拮抗作用」
- ドーパミンを少量放出させ、喫煙の欲求や離脱症状を軽減する「刺激作用」
拮抗作用と刺激作用によって、たばこを吸いたい欲求や禁煙によるイライラなどを和らげる作用があります。
また、バレニクリンで禁煙をしている途中にたばこを吸ってしまった場合でも、たばこのニコチンをブロックします。
ニコチンがブロックされることで、「たばこを吸ったのに満足感がない」「おいしくない」と感じ、喫煙の習慣が軽減されるでしょう。
POINT
バレニクリンは禁煙に伴うイライラや集中力の低下など離脱症状を抑制する働きがある
バレニクリンの服用方法
バレニクリンは、禁煙をスタートする1週間前から服用し始め、12週間続けます。
標準的な服用方法は以下のとおりです。
第1週目(1~3日目)
0.5mg錠を1日1回服用
第1週目(4~7日目)
0.5mg錠を1日2回服用
第2週目~12週目
1mg錠を1日2回
上記のスケジュール通り12週で禁煙できた場合、禁煙を確実にするため健康保険適用外で12週延長して服用できます。
参照:厚生労働省 e-ヘルスネット 禁煙補助薬バレニクリンの使い方
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-009.html
バレニクリンの副作用と注意点
バレニクリンの副作用は、不眠症や頭痛・嘔気・便秘・異常な夢などがあげられています。
一時的なものの場合が多いようですが、服用後に変化が起こった際には医師に相談するようにしましょう。
また、頻度は不明ですが、めまいや傾眠・意識障害等の副作用があり、自動車事故に至った例も報告されています。
バレニクリンを服用中は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意することとされています。
参照:KEGG MEDICUS 医療用医薬品 チャンピックス添付文書情報
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054591#par-11_1_3
バレニクリンの禁煙成功率
気になるのはバレニクリンを使った場合の禁煙成功率ですね。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、バレニクリンを利用した場合、自力で禁煙した場合よりも2.2倍の禁煙成功率になるとされています。
市販の禁煙補助薬であるニコチンパッチは1.6倍、ニコチンガムは1.5倍とされているため、成功率は高いといえるでしょう。
参照:厚生労働省 e-ヘルスネット 禁煙のおくすりってどんなもの?
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-006.html
ただし、禁煙成功率が高いといってもバレニクリンの効果には個人差があります。
禁煙を成功させるためには、薬だけではなくライフスタイルを改善させることも大切です。
バレニクリンでの禁煙がおすすめの人とおすすめできない人
バレニクリンでの禁煙がおすすめの人
喫煙本数が少なく、禁煙への強い意志がある方は、ニコチンパッチやニコチンガムなどで禁煙できる可能性があるでしょう。
一方でバレニクリンでの禁煙がおすすめの人は、以下のような人です。
- 喫煙している期間が長い人
- 喫煙本数が多い人
- ひとりで禁煙する自信がない人
- 過去に何度も禁煙にチャレンジするも失敗している人
- 禁煙時の離脱症状が強い人
- 疾患や服用薬により医師の診断が必要な人
バレニクリンをおすすめできない人
バレニクリンは、以下のような人にはおすすめできません。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 統合失調症、双極性障害、うつ病等の精神疾患のある人
- 重度の腎機能障害のある患者
- 血液透析を受けている患者
- 妊婦
- 授乳婦
- 小児等
- 高齢者
また「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」については、使用が禁忌とされています。
参照:KEGG MEDICUS 医療用医薬品 チャンピックス添付文書情報
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00054591.pdf
バレニクリンとニコチンパッチ・ニコチンガムの違いは?
バレニクリンとニコチンパッチ・ニコチンガムは、成功率だけでなく作用や使用方法が異なります。
メリットやデメリットも含め、それぞれみていきましょう。
バレニクリン
ニコチンを含まないため、循環器疾患のある方でも使える場合があります。
禁煙治療を行っている医療機関を受診すれば、健康保険を使って処方してもらうことができます。
飲み薬なので、服用しやすいメリットがありますが、医師の処方箋が必要なことと、意識障害などの副作用により自動車の運転や機械の操作に従事している方は服用できないデメリットがあります。
ニコチンパッチ
第一類医薬品としてドラッグストアや薬局で購入でき、気軽に購入でき、貼り薬なので簡単に使用できる点がメリットです。
禁煙治療を行っている医療機関を受診すれば、健康保険を使って処方してもらうことができます。(最高用量のパッチは医師の処方箋が必要です)
一方で、汗をかくとパッチがはがれやすくなるため、汗をかきやすい方やスポーツをする方には使いにくい、デメリットがあります。
ニコチンガム
たばこを吸いたくなったらガムを噛めばいいだけのニコチンガム。
短時間で効果があるため、禁煙の効果を自覚しやすく、ガムに含まれるニコチンの摂取量を調整しやすいメリットがあります。
また、たばこを吸わない口寂しさやイライラをガムで紛らわすことが可能です。
ただし、仕事中にガムを噛めない方や歯の状態によっては使えない場合があることや、ガムの噛み方に注意する点がデメリットです。
POINT
使いやすさやライフスタイルに合わせて、自分に合った禁煙補助薬を選ぼう
ニコチンパッチやニコチンガムで禁煙できなかった方は、バレニクリンを検討してみよう
バレニクリンはどこで買えるの?
バレニクリンで禁煙にチャレンジしたい!という方も多いですが、バレニクリンはドラッグストアや薬局では市販されていません。
以下の医療機関での処方が必要です。
禁煙外来を行っている病院やクリニック
バレニクリンは、医療用医薬品のため、ニコチンパッチやニコチンガムのように薬局やドラッグストアでは販売されていません。
内科や呼吸器内科、循環器内科など禁煙治療を行っている医療機関で、医師の診察を受けたうえで処方してもらうことが必要です。
しかし、チャンピックスの出荷停止・自主回収により、禁煙外来を休止する医療機関も多いのが現状です。
バレニクリンはチャンピックスの一般名として知られていますが、チャンピックスの一部ロットから基準値を超える N-ニトロソバレニクリン(発がん性の恐れがある物質)が検出されたため、現在出荷停止・自主回収されています。
参照:ファイザー株式会社 チャンピックス錠 出荷停止継続のお詫びとご案内
https://www.pfizermedicalinformation.jp/system/files/announcement/chx27l005h.pdf
これまで禁煙外来で治療を続けていた方の中には、バレニクリン(チャンピックス)が処方してもらえず禁煙難民に陥っている方が多くいらっしゃいます。
禁煙治療を行っているオンラインクリニック
禁煙治療は、薬を飲んだらすぐに終わる、というわけではありません。
禁煙成功まで3カ月~6カ月程度の期間が必要とされているため、仕事が忙しい方は通院が継続できない場合もあるでしょう。
病院やクリニックに通院しにくい方は、禁煙治療を行っているオンラインクリニックでバレニクリンを処方してもらうのもおすすめです。
オンラインクリニックでも出荷停止・自主回収されているチャンピックスの処方はできませんが、チャンピックスの海外製ジェネリック医薬品であるバレニクリン(バレニスマート)の処方が可能な場合があります。
デジタルクリニックでは、チャンピックスの海外後発品のバレニクリンの処方が可能です。
ぜひ、お気軽に相談してみてください。
デジタルクリニック
https://digital-clinic.life/lp/stopsmoking
ネット通販や個人輸入はリスクが高い
バレニクリンは、ネット通販や個人輸入、個人輸入代行業者などから購入することもできますが、重大な副作用が起こるリスクが高いためおすすめできません。
医薬品の品質も保証がなく、正規品ではないケースもあるため、医療機関を受診し処方してもらうことが大切です。
忙しくて通院できない人はオンライン診療を検討しよう
バレニクリンを使った禁煙治療は、服用の1週間前から12週間、標準のスケジュールでも3カ月の継続が必要です。
通院回数は人によって異なりますが、相談なども含めると5回以上の通院が必要な場合もあります。
特に禁煙外来は、完全予約制の医療機関が多いため、なかなか予約がとれず、禁煙治療が受けられないケースも少なくありません。
忙しくて希望の日時に予約がとれない方や、何度も通院するのが難しい方は、オンライン診療を検討されてみてはいかがでしょうか。
デジタルクリニックでオンライン診療を受ける場合の流れは以下のとおりです。
- 問診・診療予約
事前問診と基本情報を入力し、希望の日時の診察予約を取ります。
- カウンセリング・診察
電話にて診察を受けます。
忙しい方や病院に行くのは緊張するという方も、自宅やお好きな場所でリラックスして診察を受けることができます。
- お届け
決済が終わったら処方されたお薬が配送されます。
最短翌日到着し、自宅にいながら診察から受け取りまで可能です。
禁煙外来での通院は健康保険適用ですが、オンラインクリニックによっては自由診療となります。
自由診療は高いイメージがありますが、通院の手間がなく手軽に利用できるため、忙しくて禁煙外来を受診できない方にとってはメリットが大きいといえるでしょう。
医師と二人三脚で禁煙に取り組もう
社会的に禁煙化やたばこの値上がりによって、喫煙者にとって居心地が悪い環境になってきました。
日常的にたばこを吸っている方でも健康面や費用面を考えると「禁煙したい」と思っている方が多いとされています。
たばこをやめたいと思っていても、なかなかやめられない方はニコチンへの依存度が高く、自分の意志だけでは禁煙するのは難しいでしょう。
禁煙補助薬の中で高い効果があるとされるバレニクリンは、オンラインクリニックでの診察をもとに医師の判断によって処方してもらうことができます。
ひとりで禁煙に取り組むのではなく、医師の適切なアドバイスと禁煙を続けやすい環境で、ぜひ禁煙に挑戦してみましょう。